死んだ子の齢を数える - 私が死んだ理由

5/18
前へ
/18ページ
次へ
 娘の六歳の誕生日になにをプレゼントするか主人と話し合った。  娘がプリキュアの玩具を欲しがっているのを本人から何度も聞かされていたので,休みの日に主人とショッピングモールに行く予定を立てていた。  ある日の晩,彼から突然電話があった。スマートフォンを持って慌てて寝室に行き,電話に出たが行動が不自然すぎると思い後悔した。  主人が自宅にいる時間帯は絶対に電話してこないように伝えてあったのに,お酒が入っている様子でしつこく『会いたい。はやく一緒になろう。君の温もりが忘れられない。がまんできない。愛してる』と繰り返した。  電話を切ってもすぐに掛け直してくるので,やや強めに『こんな時間に電話をしないで!』と怒鳴るように言って電話を切り,すぐに電源をオフにした。  リビングに戻ると主人が不機嫌なのが表情でわかった。  「とっても大事なお話があったのよ」とおどけて誤魔化したが,主人がどう思ったのか心配だった。  リビングに戻ってきた私を見て娘が甘えて飛びついてきた。娘を抱っこしたままソファの上に倒れるようにして横になると,娘が楽しそうにしている姿を見て,主人がそわそわしながら近づいてきた。  娘が「パパはきちゃダメ」と両手で制した瞬間,ショックを受けているのがわかったので手招きをして私の横に呼んだ。  申し訳なさそうに横に来る主人を見て,娘を溺愛している姿が微笑ましく罪悪感とともに幸せを感じた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加