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元気に走り回る娘の姿を見ていると,どことなく彼の面影があるように思えた。
彼は中学生のころからサッカー部で活躍し,私と知り合った頃も大学のサッカー部でレギュラーとして全日本大学サッカー選手権大会に出場するほどだった。
本人は本気でプロに行きたいと話していたが,大学三年生のときの怪我が原因で途中でサッカーの道を諦めていた。
運動をまったくしない主人とは正反対だったので,娘は彼の運動センスを受け継いでいるように思えた。
その頃になると,娘の父親が誰かなんてのは,どうでもいいように思えていた。
主人は娘を溺愛し,時間を見付けては娘のために過ごしてくれた。
心のどこかで主人が実の父親であって欲しいと願っていたが,そんな願いは意味がないこともわかっていた。
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