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「大丈夫?」
何度もふらついて壁に手をつく斗羽を振り返りながら要が尋ねてくる。
「大丈夫…です」
斗羽はなるべく平静を装うと、思う通りに動かない身体に心の中で叱咤した。
正直身体は全然大丈夫ではない。
連日の激しいセックスで肉体は限界を迎えていて悲鳴をあげている。
腰の奥の鈍痛はもちろんだが股関節と膝が全く言うことを聞いてくれないのだ。
今日に至っては、何だか全身が熱っぽくてひどく怠い。
粘膜を激しく擦られたせいだろうか。
とにかく早く帰ってベッドに横になりたい。
その一心でホテルの出口へ向かっていた。
ようやく出口に着くと、小さな段差につまづいてよろけてしまった。
「…おっと」
その身体を咄嗟に支えてくれた要がやれやれとため息を吐く。
「…やっぱり大丈夫じゃないだろ。家まで送るよ」
先程までの激しい交わりを思いだしたかのように触れられた場所が熱くなり、再び肉体の芯が疼いてくる。
ここはもうホテルの外で、拒まなければと思うのにその手を振り解く事ができない。
あさましくて恥ずかしい。
自分はいつからこんな爛れた身体になってしまったのだろうか。
「………斗羽………?」
突然背後から名前を呼ばれて、振り返った。
次の瞬間、虚ろだった斗羽の瞳が大きく見開かれ、みるみる顔から血の気が引いていく。
まさかこんな場所にいるとは思ってもみなかった相手が目の前でこちらを凝視して立っていたからだ。
「………………っ矢田さ……」
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