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もっと触ってと強請るように身体をもぞつかせるが、その指は悪戯に触れては離れ、離れては触れてくる。
まるで羽のような柔らかな触れ方に、斗羽の身体はじくじくと疼き、快感を追う神経だけが過敏になっていく。
「はぁ……もっとちゃんと……」
背後に感じる逞しい首筋に後頭部を擦り付けて乞う。
すると、再びくすりと笑われた。
「でも斗羽は俺じゃなくてもいいんだろう?」
突然告げられて、斗羽は顔を上げると振り向いた。
斗羽の身体を包み込む逞しくて男らしくて洗練された香りのする身体。
しかし、なぜだか彼には顔がなく、首から下だけが奇妙に動いている。
斗羽は悲鳴を上げると転がるようにベッドから飛び出した。
が、足が床に着いた瞬間、瓦礫のようにボロボロと床が崩れ、崩れた床が真っ暗な底抜けの穴に堕ちていく。
斗羽は慌ててベッドに引き返すと恐怖にガタガタと震えだした。
「どこに行くんだ斗羽。一緒に暮らそうと言ったじゃないか?あぁ、そうか。そうやって俺を避けるふりをしてあの夜みたいに酷くされたいのかい?」
「ちが……っ…違う」
「ならどうしてだい?俺は斗羽を泣かせたりしない。快楽だけ与えてあげるよ。お前は大人しく足を開いて俺を受け入れていればいい」
顔のない男の身体がゆっくりと近づいてくる。
だが、逃げたくともどこにも逃げる事ができない。
「どうして逃げる?」
縛られた腕を掴まれ、グイと引き寄せられる。
「セックスが好きなんだろう?」
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