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音成と矢田が出張に行って三日が経った。
一日目は寂しいというより実感がわかなくて一晩過ごした。
二日目、寂しい気持ちはあるものの久しぶりの一人の時間を堪能した。
三日目━━
いや、正確には二日目の夜。
寝床に入った斗羽は、二人のいない寂しさにじわりじわりと襲われはじめていた。
目を瞑ってもなかなか寝付けず、何度も寝返りを打っては溜め息を吐くばかり。
正直、一週間なんてあっという間だと思っていた。
毎晩のように求められ、二人がかりで責められる日が続くと正直身体はもたない。
肉欲に溺れてしまうような恐怖もあって少し休息が欲しいとも思っていた。
だけど、二人と離れて過ごしてみて気づいてしまった。
斗羽の心も身体もとっくに変えられてしまっている事に。
音成や矢田に出会う前は一人でも平気で過ごしていたし、ちゃんと生活もできていた。
それなのに、二人に愛される悦びを知り充溢した毎日に甘やかされてしまった斗羽は、いつの間にか一人で眠る事さえもできなくなってしまっている。
(一人ってこんなに寂しいんだ…)
電話やメールも考えたがまだ三日、いや正確には二日しか経っていないのにそんなみっともない事できない。
それに忙しい二人のスケジュールを邪魔したくない。
時差の事も考えると我慢せざるをえなかった。
数日前まで足腰立たなくなるくらい散々に愛されていた事を思い出す。
二人の名残を追うと自然と身体が疼き下腹部が熱くなってきてしまった。
けれど、一週間自慰を禁止されているため慰める事はできない。
切なくなる下肢に伸びてしまいそうになる手を叱咤しながら、唇を噛んで欲望と戦う。
そうしてようやくうとうとし始めた頃にはすっかり朝になってしまっていたのだった。
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