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「おい斗羽、一個落ちたぞ。おい、こら、ぼけっとしてんな」
突然後から後頭部を叩かれた。
振り返ると長谷川が怖い顔をして立っている。
「あ…長谷川さん、おはようございます」
そう言うと、頬を思いきりつねられた。
「おはようございますじゃねぇよ、さっきも挨拶しただろ!これ、落ちたって言ってんだよ」
呆れたように言われ、斗羽が抱えている業務用の洗剤袋が入った段ボールの上に柔軟剤の詰め替えを一つ乗せた。
その重さにバランスを崩し膝を折った斗羽を長谷川が支える。
「力ねぇくせに無理に運ぼうとすんな、台車使え」
ぶつぶつ文句を言いながらも斗羽の腕からひょいと段ボールを取り上げる。
「お前どうした?今日おかしいぞ」
日用品コーナーまで段ボールを運んでくると、長谷川が訝しげに見てくる。
自分でもわかっている。
今日は朝からずっと上の空で小さなミスばかりをしてしまっている。
きっと眠れなかったせいだ。
頭がぼーっとしていて、自分が何をしているのかいまいちよくわかってないまま動いている。
恋人二人が出張に行ってしまい寂しいんです、眠れないんです、しかも自慰まで禁止されてて身体が疼いて仕方ないんです。
なんて言えなくて
「あ~…えと…あんまり寝れてなくて」
目を泳がせながら答えると、矢田の眉がピクリと動いた。
「お前…もしかして…」
長谷川はあたりをキョロキョロ確認すると、突然斗羽の制服を捲り上げた。
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