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「うぅぅ…あんんっ、も、イくぅっ…」
切なげに眉を寄せ限界を告げると、矢田はフッと男臭い笑みを浮かべた。
「俺もイキそうだ」
両脚を大きく開脚され腰から下が持ち上げられると、上から叩きつけられるようにピストンが開始される。
結合部からは果実が潰れるような音が鳴り、深いストロークに頭が真っ白になっていく。
「あんっ、ぁあああ、や、矢田さ…っんんっ」
押し寄せる快楽の中、必死に手を伸ばし抱擁を求める。
矢田はすぐに斗羽の手を取り、そこにキスを落とすと身体を屈めて抱きしめてくれた。
鼻腔を擽る彼の香りが濃くなって、匂いに欲情した後孔がまた切なく疼く。
端正な顔の額から流れ落ちる汗を指先で拭いながら、斗羽は真っ直ぐに矢田を見つめると少し肉厚な形のいい唇に口付けた。
「……すき…っ」
素直に気持ちを伝えると矢田はいつものように眉を顰め歯を食いしばり険しい表情になった。
彼は最近斗羽がこのセリフを言うと必ず苦虫を噛み潰したような表情になる。
そして決して好きとは返してくれないのだ。
初めの頃はそれはもう恥ずかしくなるくらい何度も矢田の方から繰り返し告げられていた。
好きな人から好きと言われればそれは嬉しいし、この上ない喜びだ。
しかし、今の矢田は果たして本当に斗羽のことを好いてくれているのかわからない。
矢田は自分に時間ができるとそれを斗羽との時間に割いてくれるし、こうして肉体だって求めてくれている。
こんな些細なことで不安になるなんて女々しいとも思うのだが、やっぱりあれだけ好きと言われてくれていたものが急になくなったり、斗羽の言葉に眉を顰められるとどうしても気になってしまうのだ。
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