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矢田が何も言わず抵抗しないことをいいことに、斗羽は一心不乱にそこを育てると先ほど掻き出してもらったばかりの秘部に自ら押しあてた。
まだ熱を孕んでジンジンとしていたそこは、唾液に濡れた男根をなんの抵抗もなく飲み込んでいく。
彼の身体を跨ぎ、背中を向けて進んで挿入している姿はきっととんでもない格好になっているに違いない。
けれどとてもじゃないが今は矢田の顔を見れるような心境ではなかった。
恥ずかしい、みっともないという気持ちもあるのだが、もしかしたらまたあの表情をしているのではないかと思うと怖くて直視できないのだ。
しかしこうして繋がることを拒まれたりしないということは、少なからずとも嫌悪は抱いてはいないということになる。
本気で嫌いだったら、きっと触れるのも触れられるのも嫌だろうから。
次第に息が乱れ、斗羽の動きも鈍くなりはじめた。
身体が悲鳴を上げている。
当たり前だ、さっきまで散々酷使していたのだから。
突然何かが視界を塞ぎ目の前が真っ暗になる。
それは矢田の大きな手だった。
マウントを取っていた身体はあっという間にシーツに捩じ伏せられ、息を吐く隙もなくバックから思いきり突き上げられる。
凄まじい衝撃に一瞬息の仕方を忘れ、まるで水中で溺れているかのようにシーツを掻きむしった。
好き勝手に揺さぶられ、突かれ、いつもの優しい矢田のセックスからは想像もつかないほど荒々しい手管に翻弄される。
しかしこれで良い。
こうしていれば、ひと時でも不安を忘れることができるから。
何かを忘れるために肉欲に身を沈める。
その感覚を以前どこかで経験したような気がした。
「あら斗羽君、若いのにちゃんとお庭のお手入れして偉いわね」
門の向こうから声がして、斗羽はハッとして顔を上げた。
そこには、斗羽の家の右手側の家に住んでいる隣人中西がニコニコと人の良さそうな笑みを浮かべて立っていた。
「中西さん、こんにちは」
斗羽は挨拶をすると、肩で流れる汗を拭う。
「でもそれお花の苗だってこの前植えたばっかりじゃなかったかしら?」
中西の不思議そうな顔に、斗羽は自分が刈った雑草の山を振り返った。
どうやら自分がわざわざ植えた花の苗まで抜いてしまっていたらしい。
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