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軽くシャワーを浴びて、ソファに寝転がっていると段々と瞼が重くなり始めた。
朝からあちこち掃除していたせいで疲労はピークに達していたらしい。
うつらうつらとしていると、身体から力が抜けて斗羽はいつの間にか瞼を閉じていた。
しばらくすると、誰かが斗羽の肩を揺すっってくる。
母さんかな。
起床を促す手から逃れるように寝返りをうつ。
「ん…待ってもう少し」
すっかり睡魔に支配されている斗羽はなかなか瞼を開く事ができない。
すると、今度は耳元に声が降り注ぐ。
「鍵、開けっ放しだったぞ。ちゃんと確認くらいしないとダメだろ」
「髪も濡れてるじゃないか、風邪を引いたらどうする」
甘く低い声に窘められて、斗羽はぼんやりと目を開けた。
まだ霞がちな視界の先で二人の男が代わる代わる斗羽の顔を覗き込んくる。
ぼんやりとしたシルエットはどこか懐かしくて斗羽はフッと笑った。
「こっちにおいで。乾かしてあげる」
一人の男に腕を取られ起こされると湿った髪をタオルで拭かれる。
ぐしゃぐしゃになった髪を軽く梳かれてそれはすぐに終わった。
てっきりドライヤーで乾かされると思っていた斗羽は湿ったままの髪を不思議そうに弄る。
「濡れてるのも悪くない」
「あぁ、まぁ言えてる」
「このまましようか」
「縛るぞ」
さらりと言われて、どこから取り出したのか斗羽の身体に縄が巻かれていく。
それは一見して仕事で扱う麻縄に見えたが、綺麗に鞣してあって独特の毛羽立ちがなかった。
あっという間に巻かれていく縄。
二人の鮮やかな手つきに驚いて、斗羽はいつの間にか抵抗することも忘れて見惚れてしまっていた。
いや、抵抗する気なんて元からない。
不思議なのだが、斗羽はこうされる事が当たり前のような感じがしているのだ。
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