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それにしても珍しい。
友だちだろうか。
兄が友だちを家に上げるなんて滅多にない事だ。
穏和で優しい春仁は友人も沢山いるらしいが、その中の誰一人も今まで家に来た事はなかった。
彼はプライベートを頑なに守るタイプで、弟の秋人でさえ部屋に入れてもらえたことがない。
秋人は少しむっとした。
弟は部屋に入れてくれないくせに……。
と、同時に無性に気になった。
今まで誰も招いた事がない春仁が部屋に入る事を許した人間がどんな人物か知りたくなった。
秋人は階段をじっと見つめた。
階段を登った廊下の一番奥にある部屋。
そこが兄の部屋だ。
少しだけ、少しだけ見てみよう。
秋人は足を忍ばせながら階段を上がった。
階段を登りきると、ふいに声が聴こえた。
荒い息遣いの中、小刻みに鼻から抜けるような甘い声に秋人はハッと気づいた。
これは最近知ったばかりの性行為の時の声だ。
もて余した若い性を発散させるため、パソコンで観たアダルト動画の女がこんな声を出していた。
兄が…あの優しくて完璧で柔らかな物腰の兄が性行為をしている。
それだけで、秋人の頭は得体の知れない興奮に沸騰した。
ダメだ。これ以上踏み込んだらいけない。
そう思っているのに、兄の部屋のドアノブにかかる手は止まらない。
ゆっくりと開いた扉の隙間から見えた光景に秋人は息をのんだ。
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