メランコリーなマゾヒスト

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休日を一人で過ごすのは久しぶりだった。 最近はずっと二人もしくは三人でどこかへ出掛けたり、一日をベッドで過ごしたりして甘い時間を共有していたのに… それがたった一人の男の来訪によってこんなにもガタガタと崩れ落とされてしまうとは思ってもみなかった。 あれから血相を変えてやってきた矢田も加わり、三人は不穏な空気のままどこかへ出掛けてしまった。 ぽつりと残された斗羽の元には、留守を頼みたいという矢田からの簡素なメールが届いただけだった。 わかっている。 彼らは何かの繋りがあって、それは斗羽には関係ないことで。 事情を話すも話さないも彼らの自由であり、斗羽には強要する権利も何もない事。 だけどこの一人だけ蚊帳の外に取り残された感じは斗羽の胸をひどくざわつかせていた。 男が一体何者で、彼らとどういう関係なのか確かめるまでこの何ともいえない気持ちは落ち着きそうにない。 掃除を始めても、全く身が入らず結局途中で放棄してしまっていた。
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