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与えられる愉悦にだけ感覚を研ぎ澄まそうと瞼を閉じた時だった。
━━ピンポーン…
来客を知らせる音に思わず身体がピタリと止まる。
胸を弄っていた矢田の手も止まった。
互いに息を潜め、外の気配に耳を澄ませる。
誰かに見られるわけでも聞かれるわけでもないのに、こうして固唾を飲んでしまうのはこんなに明るいうちから淫らな行為をしているという背徳感を何処かで感じているからだろう。
「誰?」
「…わからないです」
声を潜める矢田につられて斗羽もヒソヒソと話す。
「興をそがれるってのはこういう事をいうのか」
溜め息を吐きながら身体を起こすと捲り上がっていた斗羽のシャツと髪を整えてくれた。
「ありがとうございます」
「続きはまたあとでな…」
悪戯っぽく片目を瞑り艶めいた言葉で囁かれると、その男ぶりのよさに見惚れてしまい顔がかぁっと熱くなってしまった。
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