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そうなると音成や矢田の立場が悪くなってしまう。
彼らは斗羽よりも社会的な地位が高い。
きっと斗羽みたいな一般人、ましてや男なんかと付き合っていると知られてしまったら…
さあっと血の気が引いていく。
「こんにちは、中西さん。いつもうちの音成がお世話になっております」
凍りついたように動かない斗羽の後で、落ち着いたそれでいてキリッとしたビジネスマンらしい挨拶が聞こえた。
「いえいえ~、えっと確かお名前は矢田さん…だったかしら?」
「ええ、矢田です。僕も音成も独身の身なので休みは暇をもて余していて…。彼とは自然と友達になったというか…まぁ、歳も離れているのでどちらかというと弟のようですけど…」
「あらそうなの~?でもお二人ともほんとにイケメンでステキなのに独身だなんてもったいないわね~ねぇ?斗羽くん」
矢田の説明に納得したのか中西の矛先は違う方へ向き始めた。
ホッとしたのも束の間、今度はそちらへの質問攻撃が始まる。
「彼女とかお付き合いしてる方もいらっしゃらないの?まさか恋人もいないなんて…それはないわよねぇ?」
なぜか斗羽の方がドキッとしてしまい顔が熱くなってくる。
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