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ベッドの上で二人の人間が重なりあっている。
上から見下ろす兄の…春仁の欲に満ち恍惚とした表情に秋人の目は釘付けになった。
兄の下で甘い声で啜り泣く女の顔は見えない。
脚を大きく開脚され、股の間で兄が腰を動かすたびに宙に浮いた白い足の爪先がゆらゆらと揺れている。
下肢だけ寛げ、あとはしっかりと服を着ている兄に対し裸にされて犯されている女は酷く倒錯的に見えた。
「イきそうか?ん?」
兄は人が変わったかのような意地の悪い笑みを浮かべている。
あんな顔の兄を秋人は知らなかった。
「こっちもトロトロだな」
更に脚を左右に開き、春仁が女の股ぐらを暴く。
そこに見えた昂りに秋人は目を見開いた。
女じゃない。
男だ。
開脚された脚の間では蜜を滴らせ滑って光る雄の象徴が、兄の逞しい腹筋との間で卑猥に糸を引いている。
兄が抱いているのは紛れもない男だった。
驚きはそれだけではなかった。
男の身体には縄が巻かれ、あらゆる場所の自由が奪われていた。
両手は背中に回され、胸を挟むように上半身ごと固定されている。
春仁はぎらついた瞳で男を見据えると、上半身に巻き付いた縄の先ごと男を引っ張りあげた。
兄が組伏せていた白い裸体の持ち主がベッドから浮き上がる。
無体を強いられているにも関わらず、男の顔は快楽に蕩け春仁をうっとりと見つめていた。
その男を見て秋人は思わず声を上げそうになった。
その男は、ついさっき秋人と映画を観に行くと約束してキャンセルしてきた親友、鈴原 要(すずはら かなめ)だったのだ。
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