忘れてください

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 生前は俺のことなんてほったらかしていた親が、今になってこの場に現れ、泣きながら学校関係者に『息子を返せ』と怒鳴り散らしている。  あんなに俺を無視していたクラスの連中も現場に姿を現し、手を合わせている。涙ぐんでる奴までいる。  何なんだよお前らは!  俺が死んだ理由は判ってるだろ!  お前らに無視されて、いないモノ扱いをされて、俺は自分で自分を殺したんだよ!  なのに死んでから俺のことを気にかけるなんて。  賠償金目的だろうけれど、それでも親は連日学校に姿を現し、俺を失ったことを嘆き悲しむアピールをする。  クラスの連中どころか、一面識もない他のクラスや学年の生徒まで、俺のことを憐れんで俺の死を悼もうとする。  その念が俺をこの場に縛りつけて、俺はひたすら苦痛に苛まれる。  いい加減にしてくれ。生きてる時はあれだけ無視してきたんだから、さっさと俺のことなんて忘れてくれ。  死んだら終わると思ってたんだ。なのに、今も生きてる時と同じくらい辛いんだ。  自殺なんかした俺への罰。だとしてもこんなのは苦しすぎる。  だから早く俺のことなんて忘れてくれ。頼む。頼むから…どうか俺を忘れてください。 忘れてください…完
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