0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
生前は俺のことなんてほったらかしていた親が、今になってこの場に現れ、泣きながら学校関係者に『息子を返せ』と怒鳴り散らしている。
あんなに俺を無視していたクラスの連中も現場に姿を現し、手を合わせている。涙ぐんでる奴までいる。
何なんだよお前らは!
俺が死んだ理由は判ってるだろ!
お前らに無視されて、いないモノ扱いをされて、俺は自分で自分を殺したんだよ!
なのに死んでから俺のことを気にかけるなんて。
賠償金目的だろうけれど、それでも親は連日学校に姿を現し、俺を失ったことを嘆き悲しむアピールをする。
クラスの連中どころか、一面識もない他のクラスや学年の生徒まで、俺のことを憐れんで俺の死を悼もうとする。
その念が俺をこの場に縛りつけて、俺はひたすら苦痛に苛まれる。
いい加減にしてくれ。生きてる時はあれだけ無視してきたんだから、さっさと俺のことなんて忘れてくれ。
死んだら終わると思ってたんだ。なのに、今も生きてる時と同じくらい辛いんだ。
自殺なんかした俺への罰。だとしてもこんなのは苦しすぎる。
だから早く俺のことなんて忘れてくれ。頼む。頼むから…どうか俺を忘れてください。
忘れてください…完
最初のコメントを投稿しよう!