その2

2/5
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
焼きもちでも焼いてぶーたれた顔をしていると思っていたその顔はカガミに似合わず真剣そのものだった。 「今はトウビョウを扱える人間が少ないんだし、そもそも1人に複数憑かせる事も可能だから仕方が無いだろ。」 小さい子に言って聞かせる様にカガミに言ったがギュッと後ろから抱きしめられた。 そっと白蛇を下ろす。 「俺は、伊織だけ居てくれれば良いし、伊織にも俺だけしか要らなくなって欲しい。」 その瞳は俺だけを見ていた。その感情は単なる執着心なのかそれとも別の物なのか。 こいつ自身も多分分かっていないんだろうなと内心溜息をついた。 そこに、一族の当主が入ってきた。 後ろから抱きつくカガミに視線をよこした後、直ぐ逸らし俺達の目の前に座った。 「どうだ。面倒の見れそうな子は居るか?」 挨拶もそこそこにそう切り出した。 「済みません。俺はこいつの世話だけで手一杯なので。」 頭を下げると後ろの存在が身じろいだのが分かった。 ちょっと可愛いな、なんて思ったのが間違いだったのか何なのか、カガミは俺の後ろからにゅっと顔を出すと口を開いた。 「そうだ!!俺と伊織はケッコンするんだから、他の奴は要らない!!」 刹那、酷くむせた俺は悪くないと思う。 後ろを振り向いて思いっきりカガミをひっぱたいた。 「痛い!!」     
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!