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その1
「なあ、なあ、呪ってやろうか?な?」
背中にべったりと張り付き、まるでおんぶお化けのようになりながら、カガミがアホ丸出しの口調で話しかけてくる。
こういう時、周りからこのアホが見えない聞こえないで本当に良かったと思う。
これで俺より2歳も年上ってんだから世の中おかしい。
図体ばっかりでかくなりやがって、180cm越えがへばりついたって可愛くもなんともないんだぞ。
俺の家系は所謂『憑き物筋』というやつだ。
カガミはトウビョウの一種で黒い色をした蛇神。
一応人型を取る事もできるが、本来の姿は蛇だ。
姉が生まれた時にカガミは兄弟と共に生まれて、俺が誕生した後、俺に憑いた。
犬神もそうだが、女が一族に生まれると憑き物は7匹増える。
カガミの他の兄弟は俺の親戚に憑いているが、こんなにアホなのはこいつだけだ。
「あのなあ、肩が当たったくらいで呪っていたらきりがないぞ。それに、お前が呪うと言ってもせいぜい、水虫にさせるくらいしかできないだろうが。」
「仕方がないだろ!!犬神と違って俺達は慢性疾患専門なんだから!!」
相変わらず、呪おう、呪おうと不穏な事を言っているカガミを無視してそっと溜息を吐く。
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