その三 花舞

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 ほうほけきょけきょけきょ――夏が近いのに未だに春の音を鳴き続ける鳥が、高らかに歌った。  頬を赤らめ、目を輝かせたサクヤの側に膝をつくと、ニニギは無言で、その美しいものを押し倒し、押し開いたのだった。  えもいわれぬ香と、美しい小鳥が歌うようなか細い声があがる。  さらさらと庭の小川が流れる音が聞こえる。  その小川は日差しを反射し、ひらひらと白い光が舞うように部屋の中を踊るのだった。  「俺は、おまえをこの上なく愛しており、おまえ以外の女をこれほど愛することはないだろう」  ニニギが言うと、サクヤが白い喉をのけぞらせて声をあげた。  紅を塗った唇がほころんでいる。  美しい、この世で最も美しく、穢れのない、完璧なサクヤ。  愛しい、愛しい、大切だ、愛しい……。  「ニニギ様」  と、サクヤは名を叫んだ。  その瞬間、サクヤの中で満ち足りた歓喜ははじけ、素晴らしい香りを立てながら黄金色の気を放ったのだった。  ニニギ様、ニニギ様、ニニギ様。  ……。  (ああ、誰もがみんな清くて良い人、愛すべき人ばかり)  ああ、あ、嬉しい、あっ……。  「愛している、おまえのために、俺は戦う」  どれほどの難関であろうと、またおまえを抱くために、俺はいくらでも戦えるだろう。  「ニニギ様」  ああ、嬉しい、ああっ。     
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