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幸せ、なんて幸せなの。嬉しい、嬉しい、嬉しい……。
愛する人から愛を告げられ、全身でそれを感じることは、なんて素晴らしいんだろう。
歓びの気持ちはなんて美しいんだろう。
きらきらと光に満ちていて、喜びしかこの世にない。
無数の花が次々と開き、栄えるように、わたしは幸せだわ。
幸福に満ちた黄金色のサクヤの気は、奥宮の部屋から外へ躍り出た。
やがてそれは、素晴らしい香りと舞い散る花びらのような甘やかさを含みながら、どんどん広がっていったのである。
オオヤマツミの国全体にあでやかな花のような歓びが伝わった。
ほんの数日前に夫を亡くした妻が嘆いているうちにも、その華やかな気は伝わった。
泣いていた女は、悲しみが薄れ、この世の喜びに目を向ける気持ちを取り戻し始める。
(そんな穢れた涙は要らないの。この世はもっと綺麗で楽しいことに満ちているのよ……)
悲しみや憎しみは穢れだ。
穢れは影を潜める。清らかな喜びだけを見るのだ。
黄金の花の気配はオオヤマツミの上空を軽々と越え、天空を舞い遊ぶように葦原中国全土に広がっていった。
毎日。
毎晩。
ニニギに求められる度にサクヤの喜びと幸せは高まるのだ。
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