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最初に嫉妬したのは沢山人に囲まれてたから。友達がいなくて寂しかったせいなのかもしれないけど。観察するとぱっちりした大きな黒目。艶のある綺麗な黒髪とそれを映えさせる白い肌の上に色味のついた頬、淡く薄いのにどこか健康的な唇。華奢で白い細い腕と脚。 私は眠そうな半目に手入れして日焼け止めを塗ってもやける肌。元々の骨が太いので夏を憂鬱にさせる。もとから茶髪でくせっ毛で乾燥しやすい髪に唇。
彼女は私に笑顔で話しかけてきた。誰とでも仲良くできる彼女が羨ましいと思った。
話してると仲良くなり親友になった。嫉妬心も薄れていった。
ある日彼女が失踪した。その後泣き腫らして寝た。夢の中で私は高校の池の近くに居た。掘られた池。水面が鏡のようで覗き込んだらわたしが居た。何となく飛び込んだ。真っ逆さまになり思い出した。学校は海の埋立地で、この池は海の水。
海底に着いた。咄嗟に目を開くと青が広がってた。呼吸もできる。別世界みたい。
辺りを眺めると同い年くらいの大人しそうな子がいた。
「・・・どうしたの。」
その子が聞く。
「友達が消えちゃって私のせいだって私が代わりに消えろって言われる。」
「..友達は私には探せないや。」
「何か出来るの?」
「人の見た目を変化させることはできる。」聞いて私は彼女を妬んでることを思い出した。
「あの子になりたい。」
「強く願って。一つずつしか叶えられない。」
彼女の華奢な身体が羨ましかった。華奢なのに、高い背。
目が覚めた。鏡をみると彼女と似た背格好の女の子になってた。腕も細く白い。
嬉しかった。
今夜も会えたら?私はこのまま続けたら彼女が消えてしまう気がしたのを気にせず願った。
―彼女の綺麗な黒髪を
―彼女の黒く大きな瞳、人徳を、
願った。
彼女は更に遠ざかる。
彼女の人気を欲した時私は彼女が消えたきがした。
またカラオケに行きたい、手を繋ぎたい、ハグをしたい。
授業後にたどり着いた、彼女と眺めた池。ここで抱きしめあったなぁ。あぁ、彼女の温もりがほしい。池を覗き込む。そこには彼女の姿が一人、浮かんでいた。そこにいたのね。逢いに行く。抱きつく時と同じ姿で池に飛び込む。そして彼女と抱き合った時、思い出した。
海と同じ場所で、一旦落ちたら底までいって出られないこと。そして
池に映った彼女は私がなりたい、と夢の中にあった子に頼み願った姿だと。
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