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俺は何かむず痒かった。
このままでいいんだろうか、と。そう思っていた。
確かに、二人で一緒にこうして平和に暮らしていたいと思っている。その為にも、お國の為にも、と思って戦争へ行っていた。俺は戦争で戦っている時、いつも雪ちゃんの事でいっぱいだった。二人で平和に暮らしたい。ずっと一緒にいたいと、そう思って死ぬ気で立ち向かっていった。
このままで、本当にいいんだろうか。
これから現状が悪くなる可能性だってある。また戦場へ出向く日があるかもしれない。そんな事を思っていると、何が正しいのかが分からなくなってしまった。
彼女がいきなり倒れた。
いつもの通り、昼頃には雪ちゃんが厨に立って料理を作っている。だがその時、雪ちゃんは倒れた。前触れもなく、突然に。
俺は駆け寄って、意識がある事を確認した。熱がある訳でも無かった。
俺は焦っていた。突然の事だからと言うのもあるが、この平和な日常が崩れると思ったからだ。とりあえず俺は町医者を呼び、一刻も早く安心したいと思った。
「結核です」
医者からそう告げられた。
結核? そんなもの、治る訳が無い、いや、治さなければ。そんな事が出来ないにもかかわらずそう思っている自分がいた。
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