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縁側に座り、茶を嗜んでいると、草陰から見た事のない猫が顔を出した。今家にいる猫とは違う種類の様だった。
すると、俺の隣で丸くなって寝ていたはずの猫が立ち上がり、その猫の方へ向かっていった。威嚇をする風もなく、顔を近づけて尻尾を絡ませ合っていた。まるで恋人のように。
そこに雪ちゃんが、俺の後ろの方からやってきた。
「あらあら、猫様には恋人がいらっしゃったのね」
穏やかな声色で言いながら、しゃがみ込んだ。俺はずずっと茶を啜る。
二匹の猫は草陰に隠れ、やがて音もしなくなった。
「どこへ行ってしまったのかしらね」
「ちょっと見てみようか」
「邪魔しちゃ悪いわよ」
「そうかい?」
湯呑を縁側に置き、音を立てないように、慎重に草陰に近づいていった。
木と木の裂けめに手を突っ込み、慎重に割いた。
すると、草陰の向こうには猫の赤ん坊たちが居た。そこに二匹の猫が仲良く丸くなって寝ていた。
俺はそっと元に戻し、静かに縁側に戻った。
「どうだった?」
「猫の赤ん坊がいっぱいいたよ」
「あら!それは素敵ね。あの猫様には恋人がいて、赤ん坊もいたのね」
感動しているのか、雪ちゃんの目が輝いていた。
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