0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
終
太平洋戦争が始まってしまった。
嫌だ嫌だと言っていても仕方が無いし、他に生きる術も、俺には持ち合わせていなかった。だから、二人で撮ったたった一枚の写真を見て、いざ心に決め、島に上陸した。
殺気を帯び、銃剣を握り締め、敵軍に立ち向かった。
一人で何百人も相手にした。
敵などもろともみず、発砲したり剣で突き刺したりとして、担当した区域総てを制圧して見せた。
あの後、雪ちゃんは医者の宣告通り、三日後に息を引き取った。その横で、俺はずっと看取っていた。
愛する人を失って、心にはぽっかりと穴が開いてしまった。
虚ろな目で彼女を見下ろした。
猫は恋人を見つけてから二人の前に姿を現すことは無くなったため、彼女が息を引き取った際も姿を見せることは無かった。
これが本当の孤独なのだと知った。
戦友も失った。
恋人も失った。
家族ももういない。
だが俺は闘い続ける。
戦場で愛する総ての人を守る為に戦う必要は、もう無くなった。
これからは一人で戦い続けるんだ。己との勝負にも勝ち、敵軍を倒し、いずれ昇格。そんな未来などほとんど願わない。死んでいった彼らの為にも俺は闘い続ける。戦争がなくなるだなんて思っちゃいない。だからこそ、生きる為に、俺はあえて危険な道を歩んでいく。
責任は重い。
背中にずっしりと感じる。
生きなければいけないという責任を感じてしまう時がある。
惜しくも死んでいった彼らの為にも戦わなければならないと思う時がある。
だからこそ俺は闘う。
たとえ一人になろうとも、生きる術を見出し、そして戦争で生き抜いてやる。
最初のコメントを投稿しよう!