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別所長治
望月と本田は中華街にあるグリフォン横浜支店に向かった。
これ以上、争いが大きくなるのを避けなければならない。
本田はテレポーテーションで先回りした。
バギーで海岸通りを疾駆する。
中華街は240店舗も集まる名所だ。
オフィスに入ると頭の後退した老人と、ふくよかな老婆、脳ミソが飛び出ちまったような若い女が電話番している。
「オヤ?あんたらも今日からかい?電話番してるだけで給料がもらえるんだって」と老人。
「スポットで入ってくれってホームに営業マンが来たんだよ?こんな年寄りに仕事くれるなんてうれしいねぇ?」
老婆が言った。ホームってのは老人ホームのことだろう。
「ねぇ、パパ?ママ?ウンチしたい」
若い女が言った。
逃げられた!?僕は確信した。
やる気も失せ、本田はバギーの助手席で5年前に記憶を戻していた。
本田は望月と課長室に向かった。黄昏の街並みが見渡せた。
「課長!あの荒木って刑事なんなんすか?」
部屋に入るなり本田が怒鳴った。
「言葉遣いに気をつけろ!?」
「どっちだってイイっすよ!あの野郎、いきなり望月のこと殴ってくるんすよ?何であんな奴を野放しにするんですか!?」
「目上の者に向かってあの野郎はないだろう?コッチだって好きでこんなところに来たわけじゃないんだよ」
別所課長が憤る。
秀吉の暴走を食い止めるために本庁から送り込まれた。
秀吉は東武署の署長、獄門に憑依していた。
「そんな言い方ってないでしょ?」
望月も黙っていない。
「荒木は昔、ある事件で心を病んだ許してやってくれよ?」
愛する仲間を信長や秀吉によって失った。
「イヤ、こっちは被害者なんすよ?」
「しばらく休むか?悪いが、ちょっとやそっとのことで休むような刑事に仕事はないぞ?」
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