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悪魔の城
荒木村重は何としてでもこの悪魔の城から逃げ出したかった。
「貴様みたいなのがいるから仕事が捗らないんだ」
別所長治に鋭い目で睨みつけられた。
「スミマセン」
「スミマセンですめば警察はいらねぇよ」
「スミマセン」
「本当にムカつくな!てめぇ!」
別所は荒木を蹴り上げた。
打ちどころが悪かったのか荒木は死んでしまった。
ドンドン!作業小屋のドアが叩かれた。鍵は開いたままだった。
「何かあったんですか!?」
入ってきたのは潜入していた源義経と木曽義仲だった。
別所長治は机の抽斗からトカレフ拳銃を抜いて、義経に向けた。
「ヒィィィッ!」
義経は両手を挙げた。
「テメェ、東武署のデカだよな?」
「イッ、イヤ……」
「全部分かってんだ、荒木から聞いたからな」
データを改竄したことは事実だ。兄の頼朝から命じられたからな?上に逆らえば終わりだ。
「死にたいのか?死にたくなかったらコイツを縛り上げるのを手伝ってくれ?」
別所長治は言った。
「五十過ぎの冴えないオッサン、他じゃ雇ってくんねぇよ?」
義経は辛辣なセリフを浴びせられ萎縮しそうだった。
「地獄の底までお供します」
こうして荒木村重を自殺に偽装した。
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