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「君がいないとだめだ」 そんな女の子ならキュンときそうな告白にも、ちっとも感動しなかった。 じゃあ私が死んだらあなたも死ぬわけ?違うでしょう。死ぬとか言ったらぶん殴るけど。どうして素直に、一緒にいるなら私がいいって言ってくれないの。 そうやって散々怒鳴ったついでに、私は自分の持病のことも話した。別に今すぐ死ぬとかそういうものでもなかったし、私だって死ぬつもりは更々なかったのだけれど、父親と弟の命を奪った憎たらしい病気だ。私だけ大丈夫だという保証はどこにもなかった。 とっとと私のことなんか諦めて、私よりも可愛くて、身の回りの世話もしてくれて、末永く寄り添ってくれる彼女を探せばいい。本気でそう思ったはずだった。 それなのに。 彼はいつも私の視界の中にいて、やっぱり私は、彼を放っておけなかった。なぜかはもうわからなかった。ただ、我慢がならなかったのだ。きっと、理屈云々の話をとうに超えていたのだろう。でもあえて言うのであれば、私は多分、彼にもやりたいことを見つけてほしかったのだと思う。それを見届けられれば、彼から離れられる気がした。 結局、私は元々多い趣味や興味に、休日とあればひたすら寝てばかりだった彼を連れ回した。 登山やバーベキューをした。温泉へドライブもした。話題のパンケーキを食べに行ったり、気に入っていたアーティストのライブに行ったりした。1日家にこもって、人気シリーズの新作RPGを攻略したこともあった。彼の手作りの料理が食べたいと駄々をこねてエプロンを着せたり、初日の出が見たいとまだ外が真っ暗なうちに彼の毛布を剥ぎ取ったりもした。 楽しかった。今ならわかる。私は楽しかったのだ。彼との時間が。 文句を言いながら布団から出て私に付き合ってくれた彼も、同じ気持ちだったのなら嬉しい。
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