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ベッドに横たわったままだと窓は見えないから、今日は星が出ているのかも、月がどれほど欠けているのかもわからなかった。だからといって、もう一人では起き上がって窓際に歩いて行くこともできない。枕元でチカチカと点滅するバイタルチェックの機械の光だけが暗闇の中でやたらと目についた。 病室を仕切っているカーテンの奥からは微かに寝息が聞こえてきていた。消灯から大して時間が経たないうちに、周りはみんな寝てしまったようだ。 一方、私はいつまでも寝ることができずにいた。 最近寝てしまうのがこわい。意識を途切れさせてしまうのが、恐ろしくてたまらない。寝てしまったら、もう二度と目覚められないんじゃないかと、そんなどうしようもない不安に追い詰められる。 「本当にもうやりたいことはないのかい?」 ふと、必死そうに訴えてきた彼の言葉が頭の中を巡った。 「僕にできることはないのかい?」 あの時彼は、どこか自棄になっていたように見えた。 ………ないはずがないだろう。 ただ、そばにいてくれればいい。もっと彼と一緒にいたい。 だから生きていたいのに。 そんな思いを全て飲み込んで笑みを返せた数時間前の自分には、よくやった、と言っておこう。これからいなくなる私が、これ以上彼の中に居座るわけにはいかない。………まぁ、そもそも彼の生活に容赦なく口を出し始めたのは私だという自覚はあるのだが。
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