雨のときの観察日記

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 私は、ここでこうやって、様々な生きものを観察するのが好きです。この梅雨(つゆ)の時期になると、実はいろんな生きものたちのおもしろい姿を見ることができるので、私はそんなにこの時期、ゆううつさというものを覚えることはないのでした。 ツバメの子どもが、だいぶ大きくなってきて、巣から飛び立つための(おど)りの練習をはじめています。 モリアオガエルの(たまご)は雨を待っていて、しとりしとりとうたう雨の合唱がひびきわたると、おたまじゃくしがその楽譜(がくふ)の音符としてしたためられるのです。 カタツムリは、この子はウズが左回りだから、ヒダリマキマイマイでしょうか、じっと(こけ)むす岩にはりついて、なにやら瞑想(めいそう)にふけっているのでしょうか。 ああ、このかわいらしい家の花壇(かだん)では、ヤマアジサイやウズアジサイ、アナベルやカシワバアジサイ、いろんな種類のアジサイが植えられていて、そのどれも、それぞれがそれぞれの色を称えあって、少しほこらしげにあめだま(雨玉)をほおばっているようです。
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