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永瀬和義は俺の高校時代からの友人であり、他社に所属する人気シンガーソングライターである。
音楽活動を開始したのは高校時代の軽音部で、ギターの他に、ベースとドラムが演奏できる。
昔から地味で落ち着いた性格をしていて、あまり目立ちたがりではない。
他の軽音部員がうるさいだけの自己満コピーバンドをやる中、永瀬は高校生ながら「演奏を聞いてくれる人が楽しめる」ことを意識して活動をしていた。
三年間を通して、永瀬のいるバンドは常に一番人気だったと記憶している。
本格的にソロ活動を開始したのは大学生になってからだ。
大学で勉強しながらバイトをして、全国の対バンライブに出演していた。
在学中にインディーズデビューを果たしたものの、「あくまで音楽活動は趣味」と言って、卒業後はいったん一般企業に就職した。
就職後も趣味の範囲で活動を続けていた永瀬を見かねた俺は、ミュージシャンを多数扱う大手事務所の知人に彼を紹介した。
ビジュアルもいいし才能だって十分にあるのに、世に出さないのはもったいないと思ったのだ。
すると、案の定トントン拍子でメジャーデビュー。
デビュー曲がいきなりヒットし、すぐにスターダムにのし上がった。
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