四章

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「菜々瀬さん!」 そこには息を切らす泉水くんがいた。私の目が点になる。 「泉水くん……」 「よかった……まだ帰ってなかった……」 泉水くんは息を整えながら安堵する。そしてめぐちゃんに尋ねる。 「ちょっとこの人、借りていーすか?」 「ぜんぜんいーよぉ」 めぐちゃんが私の背中を押した。 「ちょ、ちょっと……!」 まだ心の準備が出来てないのに……! 「……ありがとうございます」 「!」 泉水くんは私の返事を待たずに私の手を握る。その手は少し温かくて、ほんのちょっとだけ汗ばんでいた。
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