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こんな強引な泉水くんは初めてだ。
どんどん、私の鼓動が大きくなっていく。たまらなくなって私は彼の名前を呼んだ。
「泉水くん!」
校舎裏まで来て、泉水くんはようやく振り向いた。
いつもの優しい雰囲気じゃない。真剣な目つきに、私は息を呑む。
「あなたは大学でどんないい男に会えるかわからない、俺なんかより魅力的な男はいくらでもいる」
「そんなこと」
ないよ、と続ける前に私の言葉は遮られた。
「妹なんて思ってる訳ないだろ……?」
「え……?」
泉水くんの声の調子が強くなる。
「あなたを譲りたくないんだ、他の男に。俺の菜々瀬さんじゃないと嫌なんだ」
続く言葉に期待が膨らんだ。
「好きなんだ。あなたが誰よりも」
嘘みたい。泉水くんが、私を好きだなんて。
返事をしなきゃ、でもどんな言葉なら今の私の気持ちは伝わるのだろう?
考えても分からなくて泉水くんの胸に飛び込む。びっくりした泉水くんが、戸惑いながらも私を受け止めた。
「ちょ……菜々瀬さん!?」
「嬉しいよ……。私も、泉水くんが大好きだもん……」
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