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「あ、すみません! うちの高校の制服だったから」
慌てて弁解すると、彼の表情がふわっと柔らいだ。
「そうなんだ? 名前、なんて言うの?」
少し態度がフランクになって嬉しい。
「えっと……菜々瀬です」
「へぇ、俺迫田。よろしく、七瀬さん」
「ななせ」って優しい声で呼ばれて耳がくすぐったい。
「学校で会えたらいいね」
「そうだね、じゃあまた」
迫田くんは気さくな笑顔で手を振り、弟くん二人のランドセルを片手で押しながらレジの方に向かった。
良いお兄ちゃんなんだろうなぁ……
何故かその日一日、彼の笑顔が頭にこびりついて離れなかった。
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