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魔導王国、首都郊外の森の中、人目を避けるようにひっそりと建つ木造の小さな家。その扉が大きな音を立てて跳ね開けられると、中から小さな影が2つ、勢いよく飛び出してきた。
「いくぞ、アレン!」
「こい、レオン!」
互いをアレン、レオンと呼んだ少年二人の手には、木で出来たおもちゃの剣がそれぞれ握られている。その構えと真剣な表情から、少なくとも彼らにとっては "おもちゃ" ではないのであろうことが窺えた。
「まどうおうこく、きしだんちょう、アレン、まいる!」
「まどうおうこく、きしだんちょう、レオン、まいる!」
決闘の構えから同時にそう名乗りを上げた少年たちは、やはり同時に文句ありげな顔をした。
「きょうはオレがだんちょうのやくそくだろ?!」
赤毛の少年――アレンが怒ったようにそう言って詰め寄るが、対して青毛の少年――レオンはやれやれと肩をすくめてため息をついた。
「あのな、アレン。だんちょうはきしだんでいちばんつよいきしがなれるんだ」
「そんなことしってる!」
「おれは、おまえよりつよいだろ? だからおれがだんちょうだ」
ふふんと笑うレオンに、アレンは更に顔を赤らめた。
「たしかにレオンはまほうがつかえるけど、けんのうではおれのほうがうえだ!」
「いーや、けんもまほうもおれのほうがつよい」
「そんなことない!おれのほうがうえだ!」
「なら、きょうもわからせてやる」
2人は同時に地を蹴って互いに距離を取ると、改めて剣を構えた。大きめの剣を両手で握るアレンと、細身の剣を半身で構えるレオン。幼い風貌に似つかわしくなく、その間に流れる空気はまさしく決闘のそれだ。
「「しょうぶだ!!」」
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