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「――で、また負けたのか?アレン。」
くすくすと笑いながらそう言う大柄な男にアレンは大きく頬を膨らませた。
「まけてない! けんだけだったらおれのかちだった!」
「お、なんだ。レオン、お前魔法使ったのか?」
「……ごめんなさい、とうさん。つい……」
項垂れるレオンの頭を、父と呼ばれた男――ガウェインはわしゃわしゃと撫でた。
――ガウェインとレオンの間には血のつながりがない。
かつて不幸な事故により天涯孤独となったレオンをガウェインは引き取り、実の息子アレンと兄弟のように育てた。レオンもそのことは承知で、ガウェインを尊敬するとともに本当の父のように思っている。アレンにとっては、レオンは兄であり親友だった。
「もう一度確認するぞ、レオン。魔法とは?」
「つよいちからだけど、つかいかたをまちがえたらたいへんなことになる」
「そうだな。それから?」
「せいれいにかんしゃすること、だろ?レオン」
「おれがいおうとしたんだぞ!」
「まあそう喧嘩するな。二人ともちゃんと覚えててくれてるんだな」
ガウェインは二人の愛息子に、目を細めて微笑んだ。
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