1章 王国騎士団

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「次は実技試験だ。2人1組で模擬戦闘を行う」 「やっと戦えるのかー! 身体検査ばっかりでくたびれたぜ!」  アレンはその場で大きく伸びをすると、壁の向こうを見やった。 「レオンの方もそろそろかな? まぁあいつに限って何も心配することないだろうけど……」  騎士団の入隊試験は、剣を武器とする前衛隊志望と魔法を武器とする後衛隊志望でそれぞれ行われる。  幼い頃から大剣を得意としたアレンは前衛隊を、魔法の行使を得意としたレオンは後衛隊を志望した。そのため試験自体は別の場所で行われており、2人は早々に別れることになった。 ◇◇ 『次に会うときはお互い騎士だな!』 『お前より上の等級で受かってやるから見てろよ』 『な、俺だってレオンには負けない!』 ◇◇  騎士団には前衛隊、後衛隊それぞれにその強さや階級を表す等級が存在する。一般的に新入隊員は最下級、5級からのスタートとなるが、この入隊試験において特に(ひい)でた力を示した者は飛び級での入隊もあり得た。 「(父さんはいきなり前衛隊の2級だったし、俺だって!)」  何より、親友であり一番のライバルでもある兄には負けられない。そう気合いを入れ直すとアレンは対戦相手に向かって愛用の大剣を構えた。
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