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一方、強い霊力をもつ者達は、更に魔法の研究に没頭し、その末に精霊の力を凝縮させた物質である、【精霊琥珀】の精製に成功した。精霊の力そのものともいえる精霊琥珀を媒介とすることで、行使できる魔法は飛躍的に強大となり、魔導王国の人々は当然のようにその力を兵器として使うようになった。
魔導王国と機械帝国の戦争は熾烈を極め、ある時は山を削り、ある時は海を抉った。大陸の南西、南ドヴォル地方を横断する底なしの谷は第3次戦争にて大地が裂けたためにできたとも言われている。
激化する両国の争いについに世界は滅ぶかとも思われたが、その決着はつかないまま次第にある程度の膠着状態となっていった。
その原因の一つがこの頃から世界に発生した、魔物という存在であった。いつの間にか現れた獣とも違うその異形の生物は、瞬く間に各地に出現して人々を襲い、その被害は年々増加の一途を辿っていった。両国とも自国内の魔物討伐に追われざるを得ず、その結果として戦争の規模は小さくなっていったのである。
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