遺言状

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 私は、二十歳で東京に出てきて以来、死にものぐるいで働いた、そして森村土建を一代で築いたのだ。そして今まで休みなく働いたのだぞ、それを見習おうともせず、懐ばかりをあてにして、何たる様か、仕事にかまけてお前たちの面倒をみなかった私にも落ち度は大いにある。  その非は認める。  だが、誰一人として真っ当な職人にすらなれず、夜な夜な街で散財して、全て親の金を当てにして、家にすら帰らず。  私が何も知らないとでも思ったか。  挙句の果てには、私が死んだら財産を山分けする相談だと、馬鹿者。  恥を知れ。  銀行口座にはお前たちも知っているように、四億ほど入っておる。  だが、びた一文たりとてお前たちには渡さん。
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