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そして、17歳の頃に出会ったのが礼子だった。礼子も小さい頃に両親を亡くし、高校に行かず水商売の世界に飛び込み、その頃は24歳だったと思う。
私たちはなぜだかウマが合った。身体の相性も抜群だった。そのうち私は、稼ぎのいい礼子に頼りっきりになり、小銭を稼ぐのがバカらしくなった。次第に仕事もしなくなり、礼子にべったりの生活をおくるようになったが、嫌な顔一つせず、私を養ってくれていた。
そんな自堕落な生活を2年ほど続けていたろうか、私は19歳で立派なヒモとなっていた。
だが、忘れもしない19歳の8月15日、そう終戦記念日だ。
礼子は一通の手紙と10万円を机に置いて忽然と姿を消した。
手紙には「彼氏ができたので別れます」とだけ書かれていた。
意気がっていた私は、変なプライドだけは人一倍持っていたから憤慨した、当たりどころのない怒りが込み上げ、アパートを始末すると10万円を手にして東京へと出た。
東京で一旗あげて見返してやろうと思ったのだ。
それが20歳の時だ。
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