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 死霊魔術師という職業柄、ソーグラ様が物騒な会話をするのは仕方のないことでしょう。  魔術師といえば、どんなジャンルであってもエリート揃い。女性にもモテるものであるのですが、そんな中にあって「女性の好感度ワースト1職業」とまで言われるのが死霊魔術師なのです。  若い女性の亡骸をゾンビにして、調度品やら召使いやらに仕立てて、貴族や富豪に売りつけるというのですから嫌われて当然でしょう。 「さて、仕事の話に戻すがの。お主の亡くなった伯父から後継者の指名を聞き出せばよいのだな」 「ええ、伯父の伯爵家は末っ子の長男が早世してしまい、嫁入り前だった次女が婿をとる予定で家に残っていたのです。しかし、すでに嫁にいった長女が長子として家を継ぐ権利があると言いだしましてな」  ソーグラ様は死霊魔術師として、霊魂を顕現させることができます。普通の死者の霊魂がこの世に留まっている49日までの間に限定されますが。 「ふむ。それなのに後継者を決められないまま、その当主は亡くなったというわけだのう。よくある話だな」     
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