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「君のことは大好きだけど、もうすぐお別れなんだ」
その言葉に私は衝撃を受けたわ。
いやよ……いやよ……お兄さんとお別れなんて、どうしてそんなことを急に言うの?
いきなり心を抉られて言葉にならない私に、お兄さんは鼻を啜りながらも更に別れの言葉を紡いだわ。
「僕は何もかもが初めてで戸惑うことも多かったけど、君は嫌がりもせずに僕を受け入れてくれた。君と過ごした日々はとても貴重でこれから先もきっと忘れることはないだろう。離れ離れになるのは悲しいけれど……しょうがないんだ」
受け入れられず下を向いたままでいた私だったけれど、お兄さんの方はすでに心の準備ができていたようで、すぐに切り替えて明るい声で話しかけてきたの。
「それにさ、新しく行くところは君にとってもいいところだと思うんだよね。君の性格なら向こうの家族にもすぐに馴染んできっといいところにお嫁さんに行けるよ」
目の前が一瞬にして真っ暗になったわ。
私はお兄さんのお嫁さんになりたかったのよ。なのになんで追い打ちをかけるようにそんなことを言うの?私にとってお兄さんのいない場所なんて天国でも地獄でもどこに行っても同じだというのに。
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