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だけど私の心の叫びもむなしく、その翌日にはお別れの時が来たわ。いくらなんでも早過ぎる。
そうして私はある晴れた昼下がりに、荷馬車に揺られることになったの。
気分が沈んだまま揺られていた私は、気づいたら新しい家に着き、新しい家族に迎えられていたわ。
そこは前みたいな大家族ではなかったし、お兄さんみたいな若い人はいなかったのだけれど、私のお世話をしてくれるというおじさん夫婦はとってもいい人たちだった。
「よーしよし、腹が減ったろう?どんどん食えよー」
おじさんはとってもおいしいご飯をたーっくさん食べさせてくれたわ。
お腹がいっぱいになると、気分も段々前向きになってきて、あれだけ辛かったお兄さんとお別れした悲しみも徐々に薄れていったの。
だから私はとにかく食べて、少しでも楽しく毎日を過ごそうとしていたわ。
たまにちょっと食べすぎたかしら?とも思ったけれど、私がたくさん食べるとおじさんも奥さんもすごく喜んでくれて。
「お前はどんどん美人になるなぁ」
私を褒めるその笑顔がお兄さんと同じようにキラキラしてたから、私もう嬉しくって。
だけどね、お引っ越ししてきた新しいお部屋はちょっと狭くてあんまり身動きがとれないの。私が大きくなりすぎたのかしら?
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