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「ずっと部屋ん中閉じ込めてしっかりストレスかけたからなぁ、外に出たくて仕方がないのさ。おかげで乗せる手間が省けたよ。なぁに、少ししたら落ち着くさ」
そうよ、お外に連れ出してくれるこの荷馬車を壊すもんですか。それにどうやら元々これに私を乗せてくれるつもりだったみたい。
私ったら先走っちゃって、恥ずかしいぃ……。
「そうか、じゃあひとまず連れていくとするかな」
「あぁ、よろしく頼む」
御者さんとの話が終わるとおじさんは私の方にやってきて、そっと頭を撫でていつものキラキラ笑顔になったわ。
「お前がいいところに貰われたらうちの生活も潤うよ。なんせお前の霜降り具合は素晴らしい。きっとA5ランクに違いないからな、しっかり競り落とされてきな」
おじさんの言ってることの半分くらいはよく分からないけれど、声と表情から私にとっても期待していることはわかったわ。
それに雰囲気が前に引っ越す時に私を荷馬車に乗せたお兄さんが「きっといいところにお嫁にいけるよ」って言ってた時と同じ感じだと思うの。
もしかして、私ついにお嫁に行くのかしら。
ああ、一体どんな人のところへ?
会ったこともない人に嫁ぐだなんてリスキーだけど、私はお兄さんからもおじさん達からもお墨付きだもの。きっとうまくやっていけるわ。
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