出会い

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約束の日はとても晴れていた。 どんな服を着て行こうかと朝から悩み、何度も着替えを繰り返し、胸の開き具合をチェックした。 とても浮かれていた。 待ち合わせ場所は大通りの1番端、骨董品を扱うお店だった。 約束通りの時間に現れた創はその店で古い電話機を買った。私は照明を贈るつもりだったのでアンティークの家具屋に行き、フロアライトを買った。 2人で街を歩くのは楽しかった。 でも狭い町だから時々どちらかの、または共通の知人に出会ったりした。 その度に意外そうな顔をされた。 私と創は似合わないのかな でもいいじゃん、いま楽しいんだから そう思うことにした。 でもやっぱり人混みは苦手。 創も 人がいっぱいいると落ち着かないね という。 もう買い物も終わったしご飯たべに行こうよ と誘い、車に乗った。 繁華街からそう遠くはないのに静かで夜景が綺麗なレストランがある。 そこでチーズフォンデュを食べた。 創はにこにこしているけど、あまり話さない。 たまに話す声も小さい。 あの踊ってる創や叩いてる創とは別人みたい そう思った。 食事をしながら私は夜景じゃなく創の長い髪と長い腕を見ていた。 創に触りたい。 いろんな妄想をしている私に創が話しかける。 真波ちゃんてさ、いくつなの? 創くんの1番上のお兄ちゃんとおんなじだよ ええっ 11才も年上だったんだ ちょっとびっくり 年上はきらい? と、少し攻めてみた。 ぜんぜん ぎゃくに俺年下が苦手なの 年下が相手だと自分がお兄ちゃんでいなきゃいけないような気がしてめんどくさいの と創は笑った。 とても楽しくて嬉しくて、本当に有頂天になっていた。 ご飯を終え、まだ別れがたい私は市内の丘にある公園に行った。 予想通り星がきれい。 2人で星座にあだ名をつけたり、衛星をUFOに見立てて宇宙戦争の話などで盛り上がった。 ほんとはまだ帰りたくなかったが、私は創には言っていない理由でもう帰らなくてはいけなかった。 楽しかったね、また遊びにいこうね そう言うと創は笑って、 うん、またお散歩しよう と言って手を振りながら玄関へきえた。 家に着くと創から きょうはかいものとごはんとほし、たのしかった またふたりでおさんぽしよう、やくそく とメールが届いた。 恋が始まる予感でまた眠れなかった。
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