虎四、虎四!

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 ワタシは、その少年を愛していた。  まだ高校生にもなっていないガキんちょのはずなのだが、それでも、ワタシはあの少年に首っ丈になったのだ。  悪いか、悪いよな。悪い。わかっている。ワタシは、おばさんではないが、お姉さんというのも、ちっとはばかられる年齢の人間だ。しかし、あいつの恋人である、女教師よりは年下で、若いのだ。胸は、女教師より”ちょっとばかり”小さいかもしれないが、ワタシのほうが、若いのだ。胸は小さくても、あんな、牝牛のような女・・青鹿というが、あの乳は牝牛だ・・よりは、ワタシのようなピチピチの女のほうが、若い男子は大好きなはずだ。  当然ながら、ワタシは、あの女教師青鹿より美人だ。ワタシは日本人ではない、中国の女だが、しかし、そんなことを感じさせないほどには日本語を使えるのだ。  まあ、確かにいわゆるの学問は、無いかもしれないが・・それを感じさせないほどの知識は十分にあるつもりだし、あっちの方面は、かなり上手なのだ。  そんなワタシが、その少年を愛した。あの少年がワタシに夢中になって求愛するのは、当然では無いか・・と思うのだが、なぜか、その少年は、ワタシを愛さなかった。  あのマヌケのトップ屋の神明・・バチ当たりな事に、こいつも”不死身人間”なのだ・・が言うには、””狼の精”である彼は、最初に愛した女性を生涯愛する”ということだった。だから、少年をあきらめろ、と。冗談は、ヨシコさんだ。そんなこと、その程度のことで、この恋をあきらめることができるなら、最初から、ワタシは、少年を愛しはしない。ワタシだって、ワタシだって、同じ”不死身人間”なのだぞ。  中国でも”不死身人間”が出会うのは、困難なのだ。”不死身人間”は、今や、世界中で絶滅危惧種なのだ。だから、その数少ない異性に出会ったときに、その相手に無条件で恋に落ちても、それは、生物の本能というものでは無いか。特に”虎の精”であるワタシは、その繁殖の本能に、抗うことはできないのだった。  ”狼の精”と”虎の精”が交わることは不可能ではない。生まれた子供が、どちらの精になるかは、なんらか遺伝的理由で決まるらしいが、とりあえずの繁殖は可能なのだと知れている。”精”は”不死身人間”の属性の一つに過ぎない。あの少年だって、生物であるなら、ただの人間よりも、おなじ”不死身人間”に対して、繁殖本能を刺激されるはずだ。
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