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「はーい、次の方は…えっと、ナンバー420番ねー。前に出てきてくださーい。」
やるせない声に促され、私は数歩前へと出る。
ここは、どこ?
辺りを見回すと、山に囲まれた川の前だった。
一見、日本のどこにでもありそうなただの田舎の風景だが、よく見てみると、なぜか少し雰囲気が違う。
空は灰色の絵の具をべたっと厚塗りしたような面白みのないただの壁のようだし、山や地面の緑はやけに固そうで、今にも枯れてしまいそうな、でも何百年も前からこの状態だったような、なんとも不気味な草だ。
そして異様なのは、私の後ろに延々と続く白い1本の道。しかしそれは、ただの白い道ではなく、全て白装束を身にまとった人であった。
私はこうしてやっと、ここは三途の川というものの前にいるのだと気がついた。
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