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その学校の屋上から見える空の景色は、とても綺麗だった。真っ青な空に架かる飛行機が気持ちよさそうに泳いでいる。しかし、屋上の最奥の手すりに幾つもかけられた黄色いテープは、そんな綺麗な空を台無しにするように、残酷で、悲壮な空気を醸し出していた。
ゆっくりと、その手すりの前に置かれたバリケードもどきの塀をすり抜けて目の前に立つ。
そして、私は目を閉じて、先ほどの記憶を辿ってみる。
屋上に、2人。
長くしなやか伸びる髪の毛、櫛の通されていない短く乱暴に切られたような髪の毛。
その2人は、対極的な髪の毛を持ち、また、体型も全く違っていた。言わずもがな、長い髪の女の子の方は、モデルのように細く、長く、それでいて健康的な手足だ。それに比べて、もう一人の彼女の醜い体型ったら無い。彼女の手足をものに例えるとしたら大根だ。よくもまあその見た目で人前に出られるものだと思わず感心してしまうほどに、彼女の容姿は酷かった。
きっと私は、その彼女と揉め合いになり、挙句その大根のような腕に押されて屋上から落ちたのだと思った。
誰からも好かれ、美しい姿の私に嫉妬して、妬んで、勝手に彼女のエゴで、私は殺されたのだ。
そう考えた途端、怒りがこみ上げてきた。
壊れかけた手すりを思わずがっと強く握りしめる。
え?
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