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湿度の高い季節は対象物との距離がずっと近くなるんです。
例えば髪の毛や本のページ、開いて、うねって、くっつく。
もしかしたら水無月に結婚する方が多いのも湿度のせいかもしれませんね。
そして、これは物だけに限ったことではありません。
目に見えない意識までもが光の水中屈折のように歪みます。
例えば、愛なんて抽象的な概念が照射された対象物がその行方を見失うのも一つの現象なんです。
それはプラナリアのように簡単に切り離す事も出来ず、線として彷徨い、次第に迷路を形作ります。
それがこの蛇の腹なのです。
終わりはありません。なぜならその対角にあるものは鏡だからです。
世界に投げ出された線を収束させるには点になるか、その全てを飲み込むしかないのです。
大丈夫。あなたはまだ選択することができます。
世界を溺れさせるのも、砂漠にするのも自由です。
選ぶ時間は無限にありますし、私はそのお手伝いを出来る限りします。
私はあなたの為の雨をこの身に受け存在するのです。
そうそう、言い忘れました、私の名前は…
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