三振り目 血の黙示

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「信長公...いや信長の動きは見えぬ。動かぬつもりか? それならば策を練り直すのみ。漆黒と白銀、そして真紅...私の天下はもうすぐ。忠勝...準備は出来ておるな?」 「勿論でございます...全て抜かりなく」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「信長は何を考えている? 直前まで攻めておきながら唐突な撤退...時期はもうすぐか」 「光秀様、お食事の用意が出来ましたよ」 「いつもすまない...感謝しています」 「そんな、感謝なんてとんでもございません。こんな粗末なものしか出せなくて申し訳ないと...」 「いやそんなことはない。貴女の真心痛み入る」 「疲れも癒えた...そろそろ行きます。これまでありがとう」 「...お気をつけて」 女は静かに光秀を見送る。 光秀は女に礼を言い刀を受け取り漆黒の本拠地・《甲府城》へ向かう。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「斎造殿...」 「近藤...局長か。俺の準備は出来ているぞ」 「うむ。明朝、漆黒を討ちに行く」 「承知した。それから...俺もいつまでもなまくらしか打てない鍛冶屋ではない。少しばかりではあるが刀を用意した。使ってくれ」 「有り難く使わせて頂こう。今宵は英気を養い明日に備えよ」 明日、漆黒を討つ。俺の剣が未知の相手にどこまで通じるか...。 カタカタッ 「な、何だ!? 刀が独りでに動いた?」     
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