六振り目 足利義教

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「そこは様々な武将の魂がぶつかり合う戦国時代だった。...そこで私は病で伏せていた明智光秀公...私の命の恩人でもある。戦乱の最中、素性も知らぬ私を友人として迎えてくれた。そこで私は決して明智殿に顔立ちが似ていたわけでも背格好も似てはいなかったのだが、明智殿の従者たちと協力し私が明智殿の影武者を引き受けることとなった。しかし、明智殿は数年後病で倒れこの世を去ってしまう。明智殿は自分が逝った後、私を本物の明智光秀として支えるよう従者に話していたと言う。もちろん私はその言葉に従い明智光秀として戦乱を駆け巡った。そんな時出会ったのがあの男...織田信長だった」 「アンタは最初から足利義教だとわかっていたのか?」 「いや、私は肝心なところが抜けていたのだ。足利義教の悪行は話に聞いていたのだが顔立ちまでは知らなかったのだ。私はその後織田信長に従い戦国を納めていった」 「あっしとの出会いもその辺りか」 「うむ。そして私は織田信長に反旗を翻し本能寺にて奴を討ち取ろうと画策したのだが...奴の力は圧倒的だった。そしてあの男の前にワープホールが出た時、確信めいたものが私の中に生まれた。まさかこの男は、あの足利義教ではないか、と。しかし、最後まで自分の考えに疑いを持ったまま奴と対峙した結果がこれだ。 あの男が求めているのはただ一つ、『生きること』。生き続け、己の力を行使し、欲を満たしているのだ。私は室町時代で奴を討ち取れなかった責任を果たしたい」 「俺も同じだ、俺は奴の差し金で2人の弟たちを失った。その敵討ちがしたいんだ」 「あっしは...あの男に仲間を盗られた。共に天下を取ろうと約束した友をな。そんな友と戦う事になろうとも既に覚悟は出来ている。しかし説得出来るのならば、そうしたいものだ」     
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