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ないか」
「お前さんは」
と聞き返すと、
「俺は八丈島、厳しらしいぜ」
流人船暮らしもちょっとは慣れたくらいに、
伊豆七島の内、一笑の新島は伊豆半島に伊豆大島に次ぎ近い島だった。
それでも風任せ史お任せで一〇間ほどかかり島に着いた。囚人五人が降ろされて、島の役人に引き渡された。
新島は南北に細長い島、中央部と北部の低地以外は、大部分火山流石で海岸は絶壁が続き、最高峰の宮塚山は四五〇メートルはある。
島民は僅かな農地に、主として漁業で島民の成り合い、西の浜海岸は珍しく白砂が続き、温泉が湧出している。
上陸すると
「お前たち五人は終生ここの島に暮らすんだ」
と新島の役人に連行され、島民とは離れた反対側にある流人小屋に案内された。
「この島では、お前たちは、自給自足を考えろ」
流人小屋の流人名主が表れ、この島のついて説明を受けた。
ここの島では、自給自足、役人から貰って暮らそうと思うな。
流人小屋は海岸沿いに点在し、島内の往来は比較的自由だ、しかし島抜けは死を意味する事で諦めろと教えらえた。
「島民には一切迷惑や、悪さは禁物、好かれるようにな」
戸惑う一笑に流人仲間のいざこざは無いように、役人がそっと教えてくれた。
「お前さん幾つだ」
「六四歳」
「おいて流人生活は苦しい、覚悟してかかれ」
「よろしく頼むと」
誠心誠意、低姿勢で接した。
「ところで、娑婆では何の仕事だ」
「絵師だ」
「絵師が何故此処に」
島民はこんな離島に絵師がいることが不思議だった。
「絵師流派仲間の刃傷沙汰で」
「まー、気長くな」
一笑は考えた、自分にできること、漁業も農作業も、大工も出来るものはない。生きていくに身を立てるものは「絵師」この島で絵師の仕事などあるわけがない。
半年はつらい苦しい日々が続いた。
ある日の事
「御免よ、ちょっと聞きたいだが」
「どちら様」
「この島の西浦村の庄屋の木村与兵衛だが、お前さん江戸では有名な絵師だって」
「へー、一応絵師で」
「絵を描いてくれないか?」
「いいでやんす」
「ここに、絵道具と色紙を持ってきた、とりあえず、縁起の良い「七福神」を描いてくれ」
「わかりやした」
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